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デザイン経営
2021年1月26日  |  Column Design

デザイン経営宣言の話

Setのアートディレクターのタルマです。

最近新しい営業資料を作っている時に少し思った、ブランディングやデザインをすることによって、企業にどのような利益を与えるのかという話について書いてみようと思います。

デザインを仕事としてやっているとたまに頂く難しい質問の中に「デザインを頑張ると、どれくらいの利益がでるのか」というものがあります。これって、たぶん「利益が出る」ということは間違いなくその方向だと思うのですが、数値を示すことが難しいなぁと、いつもぼんやりとした答えを返していました。

 

最近ブランディングに関する営業資料を作っていて、その部分もどのように利益を与えるものなのか示さないといけないなぁと思いながらふっと思い出したのが、経済産業省と特許庁が公式で出しているデザイン経営宣言のことでした。この資料には、デザインを経営に活用することで企業にもたらす利益を数値でしっかりと書いてあります。我々デザイナーにとってとても心強い資料ですね。

しかし、公的な資料のわりに、結構ラフな書き方の資料だなぁとも思いました。。笑

この内容について気になった部分をまとめてみます。

 

 

デザインの重要性が増した社会背景

 

日本企業はこれまで、世界で主にハードウェア・エレクトにクスの組み合わせ領域でリードしてきたが、その主戦場がソフトウェア・ネットワーク・データ・AIにシフトして行っている近年では、顧客体験の質がビジネスの成功において大きな影響を及ぼすようになってきているという。

このような世の中では、世界の裏側であっても情報がすぐに手に入り、さまざまなサービスの存在を知ることができます。人々は自分の興味があるものを「検索」し、多くの情報に触れ、多くの選択肢の中から選びます。また、このように情報が共有された世の中であれば、商品の機能・品質もある程度達成すべき「高品質」までは多くの企業が到達できるようになりました。

そんな「高品質」に溢れた中で、選ぶ理由として「ブランド力」が影響力を強めてきているということなのでしょう。

 

 

「デザイン経営」の定義

 

「デザイン経営」というのは言葉としてはものすごくざっくりとしていてわかりにくいのですが、さすが経産省の資料です。定義が書いてあります。

この資料によると、デザイン経営とは、デザインを企業価値向上のために重要な資源として活用する経営のことであり、その力を活用してブランド力やイノベーション力を向上させるということ。また、デザイン経営と呼ぶための条件として以下の二点をあげています。

 

・経営チームにデザイン責任者がいること

 

・事業戦略の最上流からデザインが関与すること

 

ここで書いている「デザイン責任者」とは製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、ブランドに資するものであるかを判断し、それを業務プロセスへ反映させる技術を持つものと定義されています。

 

 

 

 

デザインの投資効果

 

この資料の中では、デザインの投資効果についても触れています。欧米の企業を中心にデザインへの投資を行っている企業のパフォーマンスについて行われた研究をもとに書いているようです。

BritishDesignCouncilは、デザインに投資を行うとその投資額の4倍の利益を得られると発表しているそうです。

Design Value Indexは、S&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍に成長したと発表。

 

 

デザインを実践するには

 

デザイン経営を実際に導入していくには大きく7つの取り組みをあげています。

 

① デザイン責任者(CDO,CCO,CXO等)の経営チームへの参画
デザインを企業戦略の中核に関連付け、デザインについて経営メンバーと密
なコミュケーションを取る。

② 事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画
デザイナーが最上流から計画に参加する。

③ 「デザイン経営」の推進組織の設置
組織図の重要な位置にデザイン部⾨を位置付け、社内横断でデザインを実施
する。

④ デザイン⼿法による顧客の潜在ニーズの発⾒
観察⼿法の導⼊により、顧客の潜在ニーズを発⾒する。

⑤ アジャイル型開発プロセスの実施
観察・仮説構築・試作・再仮説構築の反復により、質とスピードの両取りを
⾏う。

⑥ 採⽤および⼈材の育成
デザイン⼈材の採⽤を強化する。また、ビジネス⼈材やテクノロジー⼈材に
対するデザイン⼿法の教育を⾏うことで、デザインマインドを向上させる。

⑦ デザインの結果指標・プロセス指標の設計を⼯夫
指標作成の難しいデザインについても、観察可能で⻑期的な企業価値を向上
させるための指標策定を試みる。

 

 

 

私たちデザイン会社がやるべきこと

 

デザイン会社の多くは、「発注」を受けて「受注」し「納品」をするというフローで収益を得ています。しかし、デザイン経営でやるべき動きは、この「発注」の前に発生している考え方から一緒に考えられる関係性を築くことだと思います。

「なぜそれを作らなければいけないのか?」ということや、時には「作るべきではない」ということも伝えなければいけません。

そして、それを適切に提案するには私たちデザイナーが、今までよりも深く経営について理解をすることが必要です。

また、経営者にとっては今までよりも深くデザインについて理解をする必要があります。

 

制作するものが、そのブランドにどのような影響を与えるもので、どのような流れを辿ってできるものなのか、広く見渡して、常にデザインがブランドを形成し続ける一部であることを忘れずに、私たちはデザインをしていくべきでしょう。